
ダウン症児のお子さんの成長や発達にも個人差があり、個性や性格、学習能力など、全く違います。
今回はダウン症児の成長や発達についてご紹介します。
出産前にダウン症はわかる?
最近では、出産前にダウン症児の可能性があるかどうか検査をすることができます。
検査方法にはいくつかあり、エコー検査や羊水検査、採血(母体血清マーカーテスト)などあります。
2009年のデータでは、35歳以上の高齢出産の比率は22.5%となっており、30年前と比べ約20%も増加しています。
またダウン症の産まれた子のうち、高齢出産だったものが59%であったといわれています。
このように高齢出産ではダウン症児であった割合が高いデータもあり、出産前に事前に羊水検査等で検査する方が増えてきています。
どのような成長や進路をたどるの?
それではダウン症児の成長や進路などについて、ご紹介します。
新生児期
新生児期では、まず合併症に注意する必要があります。
合併症とは、ダウン症以外に関連して起こる別の病気や症状のことです。
例えば、先天性心疾患や消化管奇形、肺高血圧症などがあります。
合併症は数多くありますが、その中でも頻度の高い疾患に関してはスクリーニング検査を行い調べます。
この時期にみられる症状として、哺乳障害があります。
哺乳障害とは、上手におっぱいを飲めないことです。
哺乳障害の原因も様々であり、ダウン症以外にも口蓋裂児(こうがいれつじ)や舌小帯短縮症(ぜっしょうたいたんしゅくしょう)でも起こります。
そのため、哺乳障害がある際は一度医師または保健師に相談してみるとよいでしょう。
乳児期
この時期では、活動の低下、便秘、哺乳障害、摂食障害などがみられることがあります。
そのため、定期的な成長の評価や発達の評価をしていくことが大切です。
ダウン症児の発達速度は、一般と比べ約2倍ぐらいといわれています。
しかし、ダウン症児のなかでも個人差が大きいため、必ずしもこれに当たるとはいえません。
成長をみるさいに成長曲線をいうものを参考にしますが、ダウン症児は一般的に使われている成長曲線とは成長が異なるため、医療機関等で成長や発達を評価していただくとよいでしょう。
また、眼科や耳鼻科での検査も行います。
ダウン症児の場合、目では屈折異常(くっせついじょう)、耳では難聴がみられることがあります。
屈折異常とは遠視や近視、乱視のことで、わかりやすくいえば視力が悪いということです。
眼科や耳鼻科は定期的に検診を行っていきます。
幼児期
幼児期でも成長や発達の評価は続けて行うことが大切です。
この時期になると、歩いたり、言葉を発したりする時期です。
ダウン症児の場合、首の関節が不安定になる環軸椎関節不安定性(かんじくついかんせつふあんていせい)、足の裏は扁平足(へんぺいそく)であったりすることがあります。
首の関節が不安定であった場合は、首に負担のかかる運動を控えたり、扁平足の場合は装具を着用することもあります。
学童期
この時期でも定期的に成長や発達の評価は行っていきます。
甲状腺機能、眼科関連、耳鼻科関連を検査します。
思春期〜成人
定期検診は1年に1回程度となります。
またこの時期になると、進学や就労、恋愛等の問題が出てきます。
特に女児の場合、生理や妊娠など女性特有の悩みも生じます。
その場合、婦人科に相談することもあります。
この時期は心の問題が大きく関与してくるため、相談できる人を探しておくことがポイントです。
まとめ
ダウン症児は個々で成長や発達に差があります。
また各年齢で定期的に成長や発達の定期検診があります。
成長には差がありますが、一人一人にあった教育や進路を選択することが大切です。