
出産が終わってからどのような流れで退院まで過ごすのかイメージがつかない方が多いと思います。
今回は、出産後から退院までの期間や過ごし方、出産後の申請書類などについてご紹介します。
それでは出産後の分娩室から退院までの流れをご説明しましょう。
出産直後はどうするの?
出産はママにとって命がけですよね。
出産は分娩室で行い、出産を終えてから基本的に2時間は分娩室に留まります。
その間、赤ちゃんの心肺や呼吸のチェック、身体に異常がないかを検査します。
ママは出産したら終わりではなく、出産後に胎盤の処置や会陰縫合など、産後も痛みに耐える時間が続きます。
“カンガルーケア”という言葉を聞いたことがありますか。
カンガルーケアとは、簡単に身体を拭いてもらった赤ちゃんをママの胸の上に抱きその上から暖かい掛け物をかけることをいいます。
この状態で触れ合いながら、しばらく安堵のときを過ごすことができます。
なぜカンガルーケアを行うのでしょうか。
ある報告によると、出産直後から赤ちゃんが母親より引き離された状態でケアをされることが、赤ちゃんと母親との相互関係に悪影響を及ぼす可能性があるといわれているものがあります。
カンガルーケアを行うことで母乳の分泌を促すだけでなく、密着することによって赤ちゃんの体温を維持し、母子相互関係にいい影響を与える可能性があるといった見解があります。
このスキンシップは母子の間に強い愛着形成ももたらしてくれます。
しかし残念ながら、赤ちゃんの状態によってはすぐに保育器に移されるケースもあります。
カンガルーケア中に赤ちゃんの状態が悪くなるケースもあるため、必ず助産師などが立ち合いの元で行っていきます。
⇒カンガルーケアのガイドラインはこちら(医療者向け)
出産してから2時間後、ママに異常がなければ、車椅子で病室へ移動となります。
入院中生活とは?
病室へ移動し、まずはしっかりとカラダを休めます。
最近では入院中は母子同室という病院も多く、産後翌日から赤ちゃんとの生活が始まります。
しかし、日中は母子ともに検査があったり、ママのシャワー時間には赤ちゃんをナースステーションに預けたりするので、丸一日一緒に過ごすわけではありません。
出産の疲れや慣れない生活でママのカラダもきついときがありますので、その場合はナースステーションで一時的に赤ちゃんを預かってくれます。
入院中はお祝いに駆けつけてくれる来客の相手や、定期的にある診察などで、一日はあっという間です。
食事中でもかたわらで赤ちゃんが泣くこともありますし、夜は一緒に過ごしますので、出産が初めてというママにとってはより大変に感じる入院生活となります。
入院期間は各病院で異なりますが、だいたいは5日~1週間程度の入院となります。
出産の準備はこちらで詳しくご紹介しています。
入院中の化粧やパジャマとは?
入院中に化粧や服装などを気にされるママもたくさんいます。
ほぼ全員といっていいほど、化粧をしているママはいません。
化粧をするぐらいなら、その時間を睡眠にあてたいと思う方がほとんどです。
それぐらい出産直後の子育ては疲れます。
また夜中に授乳をするため寝不足となり、肌荒れもするため化粧は控えたほうがよいでしょう。
入院している周りのママもすっぴんなので、全然気にならないと思いますよ。
パジャマも悩みますよね。
病院によっては、生まれて数日後のディナーはみんなで集まって食べるといったことをするところもあります。
そのときのために、ブランドのパジャマを用意するママもいます。
ブランドのパジャマもいいですが、一番は疲れにくい、授乳しやすい、自分にあった楽なパジャマがいいです。
入院中の期間はパジャマで過ごすため、見栄を張ったブランドパジャマではなく、自分にあった楽なパジャマの方がよいでしょう。
退院までに習うこととは?
入院中は産後に役立つ様々な講習を受けることになります。
おむつの替え方や着替えさせ方、沐浴方法におへそケアの仕方など、毎日のように学ぶ機会があります。
沐浴では、湯船の中で赤ちゃんをどう扱ってよいのかわからず、恐怖心を抱く人もいます。
へその緒もまだ乾ききっておらず、退院後にぽろっと取れるので、その後の処置法をしっかり学び知っておく必要があります。
授乳の仕方やおっぱいマッサージ法など、初めてのことでうまくできないママもたくさんいます。
赤ちゃんがなかなか母乳やミルクを飲んでくれず、入院中に体重が増えなくて悩むママもたくさんいます。
講習以外にも直接助産師さんに聞ける機会がたくさんあるので、退院までにたくさん聞いておくといいでしょう。
退院してからは一人で行わなければなりません。
不安だらけの生活ではママの体力も精神ももちません。
ささいな疑問でも、悩みでも、できる限り入院中に助産師などへ相談し、不安を少しでも解決しておくことが一番のポイントです。
産後の市役所への届け出書類とは?
出産後は、赤ちゃんの子育て以外にもやるべきことがたくさんあります。
産後は多くの届け出書類が必要になります。
今度はパパや家族が活躍する番になります。
出生届の申請
まずは出生届けです。
出産日を含めて14日以内に最寄りの役所に届け出なければいけません。
出生届けの用紙は市役所にもありますが、病院が記載しなければならない欄ありますので、病院でもらえることがほとんどです。
健康保険の申請
次に健康保険の加入です。
申請期限は原則1ヶ月健診までで、国民健康保険の場合は出生届と同じく14日以内となります。
これは会社に申請するものになります。
申請時には、生まれた子どもを含んだ住民票が必要となります。
住民票がないと申請できないため、住民票を市役所に取りに行かなければなりません。
初めての子どもの場合は、住民票を持たずに健康保険の加入を申請しに行く人が多く、二度手間になってしまいます。
そうならないためにも、出生届を出した時に住民票も一緒に作成し受け取ることで、スムーズに健康保険の手続きをすることができます。
乳幼児医療費助成制度,児童手当
また乳幼児医療費助成と児童手当の申請も忘れてはいけません。
医療費助成は市区町村が行っている制度なので、その地区によって申請期限が異なりますので、事前確認が必要です。
医療費助成の申請を行うことで、子どもの医療費が無料になる市町村も数多くあります。
児童手当は出生日から15日以内の届け出が必要で、他の書類と違い申請人は家庭内で年収の多い人でなければいけません。
出生届と同時に児童手当の申請も一緒にしてしまった方が楽です。
児童手当の申請をする際に、振込先の口座などの情報が必要となるため、口座情報がわかるものや印鑑を準備していくとよいでしょう。
出産一時金とは
次は出産一時金です。
これは加入の健康保険から出産にかかる費用の一部が給付される制度です。
直接支払制度のある病院では、病院が用意してくれた書類に記入をするだけで、出産費用から給付金を引いた金額が退院時に請求されます。
個人で申請しなければいけない場合は一旦全額を支払い、その後手続きをして銀行振込みなので受け取ります。
42万円給付されると聞いたことがあると思いますが、それがこの制度です。
まとめ
産後から退院までの過ごし方、市役所への手続き等は出産した病院、出産した地域、出産した時の仕事の有無などで、人それぞれ違ってきます。
事前に病院や市役所に確認し、出産後にドタバタしないようにしっかりと準備をしておくことが重要です。